私は小さい時から内向的で、人前に立つことがあまり得意ではなかったのですが、そんな自分を変えたくて劇団東俳のオーディションを中学生になる頃に受けました。一番最初は写真選考で、自宅の近くの景色がきれいなところで撮った写真を送り、数日後合格通知と二次選考の期日や場所が書かれたお知らせが届きました。

二次選考は事務所(養成所)で行われ、受験者はもちろん面接官の方もたくさんいらっしゃり、その場でテーマを与えられ、指定された数人でグループワークのような演技をしたり、個人的に応募の動機や憧れの俳優さんや特技などを質問され、答えていきました。その数日後、合格発表が届き、そこから養成所に通うことになりました。

養成所に入った時には、滑舌が良くなる練習の本やスクールバックなど今後のおけいこに必要なものが与えられ、合格したんだなという実感がわきましたし、本の内容も今まで見たことのないようなものばかりで、新鮮で好奇心がわきました。また、入所してすぐに宣伝用の写真撮影というのがあるのですが、今までにとったことのないような写真が出来るので、うれしいようなはずかしいような感じがしましたし、みんなで順番に取ったのですがすごく緊張しました。

それからは、発声の練習やグループワークによる演技の練習、日舞の練習など様々なジャンルの練習がおけいこの日ごとに行われて行きました。おけいこ自体は他の習い事では経験できないようなものが多いですし、様々なジャンルの物を習うことが出来るのでとても楽しかったです。ただ、私は劇団の方が繰り返し言われる「プロ意識」のようなものが欠けていたせいか、半年ほどでやめてしましました。

例えば、特技を聞かれて「手話が出来ます」と言うと「日本語以外の物も出来る?そうじゃないと役が狭くなるわよ」とか「体重を1週間で5kgほどは自由に増減でいないといけない」とか、プロとしてやっていく上では必要なことなのだと思うのですが、自分を変えたいことが主訴だった私にはどうもついていけないようになっていってしまいました。

また、「あなたたちは普通の子じゃない。芸能人になる卵だから、他のことは違うの」何度も言われたことも、やる気が起きた人も多くいたでしょうが、私には受け入れられない考えでした。そんなわけで私はありがたくも高い倍率の中合格したのですが、続けられませんでした。

あの当時同期の人の中には、俳優志望の子だけじゃなくモデル志望や歌手志望など様々な夢を持った人たちがいて、びっくりするぐらい演技や歌がうまい人も多く、自分に自信がなくなってしまう部分もありましたが、すごいなぁと尊敬してましたし、何より夢に向かってどんどん進んでいく姿はとっても素敵でした。私は芸能活動はしませんでしたし、自分は向いていないという結論になってしまいましたが、とても貴重な経験が出来たと今も思っています。